フロント 2010年5月29日
介護に生かす古武術の技
土曜の午後、三輪の老人ホーム「あたご」の一室に道着をまとった人たちが集まる。そこは、介護に生かせる古武術の技を一人でも多くの人に知ってもらおうと、30年の古武術経験がある池内静雄さん(60)が3月に開いた「健康道場」。健康な心身を基本に古武術の技を身に付け、介護や日常生活への応用術を学び合う場になっている。
「介護で体を傷める人が本当に多い。古武術の技を使うことで、介護による体への負担がぐっと軽くなる」と池内さんは言う。全身の力を均等に使い、体の一部分だけに負担がかからないように行う。「力は入れるより抜くことが重要」と説く。
教えに従って技を使うと、未経験者でも、寝ている人の上体を起こしたり、いすに座った人を立たせるなどの動作が無理なくできることに驚く。相手に寄り添い、密着しながら行う一連の動きは、介護する人にもされる人にも優しい理想形なのだろう。
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相手の背に沿わせる手は「きつね手」。全身の力を均等に使い、相手の体重も利用することで、より少ない負荷で女性でも自分より重い男性を抱え上げられる
同道場で学ぶ老人ホーム勤務の介護士の女性は「それまで2人がかりでやっていたことが1人でできるようになった」。介護の現場で役立つことが多い、と実感している。
精神の鍛錬も大きな目的。おへその少し下の「丹田(たんでん)」に力を入れることで、何事にも動じない精神力が得られるという。池内さんは古武術を学びながら、合気護身術を長野女子高で10年間教え、生徒の精神面の支えにもなってきた。道場開設には、「介護やさまざまな事情で、ストレスを抱えたり心身のバランスを崩した人たちの救いの場にもなれば」という池内さんの思いもある。
(記事・川上民恵)
(写真・小原晴雄)
健康道場
老人ホーム「あたご」(三輪)で、「合気護身術(古武術)」毎週土曜15〜20時。「ヨガ整体」毎週水曜19〜21時。見学は随時可。
問合せ/池内 電話243・7500