フロント 2010年6月12日

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県内外からオーナー、体験ツアーの人が参加して田植えを行い、家族連れなどでにぎわった姨捨の棚田(5月30日)

善光寺平望む棚田で田植え

千曲市の「名月の里・姨捨の棚田」は今年2月、関東甲信越で初の国の重要文化的景観に選定された。

一帯は耕作地としては不便だったこともあって、1990年代に荒廃が進んだ。市は打開策として、96年から「棚田貸します制度」を実施し、荒廃を食い止めてきた。その成果に加え、「古典に登場したり多くの文人に詠まれた歴史的遺産と景観」「弁財天の豊かな湧水とそれを貯水する水源の大池」「『日本の棚田百選』の中でも最大規模を誇る2000枚の棚田」などが評価された。

棚田はJR篠ノ井線姨捨駅の東斜面に広がる。駅南側の踏切を渡ってすぐの長尾根からの眺望は素晴らしい。足元に棚田の全景を望み、その背景に千曲川が流れ善光寺平が広がる。

先へ進むと俳句で名高い長楽寺がある。月見堂の前には松尾芭蕉の面影塚「俤(おもかげ)や姥(うば)ひとりなく月の友」の句碑があり、ほかの俳人たちが詠んだ碑も立ち並ぶ。長楽寺から集落を下ると、同寺所有の四十八枚田があり、「田毎(たごと)の月」はこれらの田に映る月に由来する。

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古くから人々を魅了してきた「四十八枚田」にある田毎観音

5月30日には、「棚田貸します制度」のオーナーらが田植えを行った。あぜ道にはアヤメや野の草花が咲く。にぎやかなカエルの鳴き声が聞こえ、水中にはオタマジャクシやミズスマシの姿も。水の入った田には“生命”が輝いている。

傾斜地を切り拓(ひら)き、水を引くにも平地の何倍もの労力を要する棚田。その風景からは、食糧がすべての人にゆき渡りますように、という民の願いが伝わってくるようだ。

(文・写真 宮本辰雄)

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