フロント 2008年11月15日

1115-01-01.jpg
ゼミ(田村俊輔教授)の仲間と。世代を超えた和気あいあいとした授業だ。卒論は「出産体験の語り」。女性が妊娠・出産を通して、どう成長・発達していくかを研究発表する

20年来の夢の実現目指し

近年、社会人向けの入試に挑戦し、大学や大学院で若者と共に学ぶ中高年者が増えています。三輪の竹内良美さん(46)=写真左端から2人目=は現在、清泉女学院大学人間学部心理コミュニケーション学科心理コースの4年生。卒業後の来年4月からは、東京の聖路加看護大学大学院看護学研究科ウィメンズヘルス・助産学専攻修士課程へ進むことになっています。

1115-01-02.jpg
聖路加看護大学の校舎(写真提供 同大学)

高校生と中学生の2人の男の子の母親であり、夫の両親と暮らす竹内さんは助産師。東京と市内の病院に20年余勤務し、取り上げた赤ちゃんは200人余りというキャリアの持ち主です。使命感のある仕事に就いているのに、家庭があり、年齢や金銭的なこともあるのに、それらを乗り越えてさらに何を学びたいのでしょうか。

2006年12月、勤務していた病院の産科廃止が踏み切り台となりました。同僚が看護師としてその病院に勤め続けるか、産科のある病院に代わるかする中で、彼女は「大学院に進学して助産師育成の教育に携わりたい」という、20年来の夢と対峙(たいじ)していました。

夫の両親はじめ家族は快く竹内さんの背中を押してくれました。しかし、夢を手元に引き寄せるには、大きな壁が立ちはだかっていました。大学院を受験するには、かなりの英語力が必要なのです。
尊い人間の命の誕生にかかわっているからこそ、貪欲(どんよく)に学びたい人間学。その上、基礎から英語の学び直しができる授業があると知り、仕事を辞めて07年4月、清泉女学院大学へ編入学しました。心配な英語が「徹底的に指導してもらったおかげで、どんどん“解けて”いくんです」。それが自信となり、「あこがれの聖路加が輪郭を持ち始めました」。

「無謀かな」という迷いをぬぐい去ってくれたのは、教授や共に学ぶ学生たちでした。誰もが「やってみれば!」と。誰一人「無茶だよ!」とは言いませんでした。

大学院では博士号修得を目指します。「支えてくれる人に恵まれたことと、運が良かったんです。まだスタート地点に立っただけ。新幹線通学など、不安の方が大きいんです」

出産をめぐる医療問題が多発している今、竹内さんは新たな一歩を踏み出そうとしています。

(記事・佐藤定子)
(写真・小原晴雄)

コメント停止中