フロント 2008年12月20日

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大胆で繊細 花の道究めて

岡村新治さん(59)の見事な手さばきには、思わず見とれてしまう。花をフローリストナイフでスパッとカットしていく。そこに迷いはみじんもない。美しいとは言い難い両の手から、ため息が出るような華やかな作品が生み出されていく。

ダイナミックに組まれたナナカマドの枝。流れを作るカラー。グロリオーサは挿されると炎のように揺れて燃え立つ。その場は瞬く間にクリスマスの空気をまとう。大胆にして繊細な“岡村ワールド”が花開く瞬間だ。

岡村さんはサラリーマン時代に、心の癒やしを求めて生け花教室に通い始めた。華道教授の資格を取り、25歳で脱サラして花屋を開業した。そのころフラワーアレンジメントという言葉が盛んに使われるようになり、西欧スタイルの勉強を重ね、ドイツ、オランダでも研修を受けた。洋の東西を問わず、いちずに花の道を究めてきた。

1998年の長野冬季オリンピックでは皇族の装花を担当。2006年には農林水産省の依頼によりタイのチェンマイで行われた国際園芸花博で日本代表3人のうちの1人としてデモンストレーションを行った。台湾、中国などでも同様の機会を得た。輝かしい経歴だが、大事にするのは基本の技術。「オアシス一つきちんと入れられないようでは良い作品はできない」と言い切る。

1220-01-01.jpgクリスマスのための小品

花を挿す姿は真剣そのものだが時々笑みもこぼれ、花との対話を楽しんでいるように見える。「生けている時は、やだやだやっちゃあいけない。楽しくなければ」とユーモアを交えて話す。「自然が作るものは完ぺき。その完成品を集めてもっときれいなものを作る。花は1たす1が無限大となる」。みずみずしい発想は、森羅万象からもらう。

最愛の孫娘には「花のように」と願い、「花」と名付けた。

「好きな花は?」の問いに「どの花も好き」と答える。「花が好き」-このシンプルで強い思いが一生を決めた。岡村さんが選んだのは「花」。岡村さんに選ばれた「花」もまた、確かな表現者を得て使命を全うする。
(記事・志摩啓子)
(写真・森山広之)

岡村新治さんプロフィール
1949年長野市生まれ。青木島町在住。(社)日本フラワーデザイナー協会(NFD)会員。NFD本部講師・試験審査員・コンクール審査員。NFD公認校長野フラワーデザインスクール主宰

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