フロント 2009年2月28日

0228-01-01.jpg 「雪の構内」100号

冬の駅構内をモチーフに

私は若いころからよく旅に出ていました。行き先は決まって海があり漁村がある場所。地図を見て、夢で見た風景を思い出しながら列車に乗り込みます。

目的地で思いがけない風景に出合ったときは本当に感動します。その地で泊まり、そこの雰囲気に浸りながら写生して帰ります。

30代後半のある時、瀬戸内海の小さな真鍋島で、予定の2泊で帰ろうとしたところ、天候が急変。朝から桟橋で待っても待っても、しけのため船は来ませんでした。

今さら1軒しかない小さな旅館には戻れず途方に暮れていましたら、同じ船に乗ろうとしていた三重県の青年と知り合い、お互い泊まる所がないこともあり意気投合し、丘の上で一晩中キャベツとミカンでお酒を酌み交わしました。その青年の息子さんは今、信大工学部の大学院生になっています。

かつては、古い家並みや漁村に魅力を感じ、北から南までスケッチしながら旅をしていましたが、最近は港も近代的になり、写生地としては感動が薄れてきました。このごろは、何の変哲もない冬の駅構内をモチーフにしています。厳しい寒さの構内では、積もった雪がいつまでも線路に残っていて、カーブしている複雑な線路の動きに魅力を感じているこのごろです。
(絵と文・鎌田 信)

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鎌田 信さんプロフィール
1936年長野市生まれ、三輪在住。76年一水会展で一水会賞受賞。80年北信美術会委員長。85年県展審査員(以後15回)。2005年一水会展で有島生馬奨励賞受賞、08年同展で安井曾太郎奨励賞受賞。現在、信州美術会副会長

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