フロント 2009年3月28日
「バレリーナ」 ポリエステル 高さ75×幅50×奥行き18cm
亡き師の教えを今もなお
上の掲載作品「バレリーナ」は、長野のバレエ団に所属していた高校生をモデルにして制作した塑像です。舞い終わって拍手を受ける時をイメージしました。
塑像を制作するときは、初めにデッサンを重ねてポーズを決め、姿態の立体的な美しさをとらえます。それから回転台上に姿態の骨格を針金で組み立て、ひもで細木をくくり付け、塑像の芯棒となる骨組みを作ります。この骨組みは、魅力ある姿態の表情を追求していく上で命となるところです。
次に、この骨組みに塊を連ねる感覚で土付けをします。最終段階で強く張りのある肉付けをしながら、量感ある人体像を構築して完成です。
この塑像は保存用にポリエステル樹脂に置き替えました。像の外側を石こうで固め、中の粘土を抜き取った所へ液状の樹脂を流し込んで固めてから、石こうを取り除いて着色してあります。
「遊ぼ」=写真下=は松本市の源池小学校創立100周年記念像として制作しました。同校の中庭の芝生に低い石の台座を据えて、等身大のブロンズ像として設置してあります。モデルとして小学3年生の女児に松本から長野市内の私の家に何度か通ってもらい、4カ月ほどで完成。同校の願いである“よく遊び”にふさわしい像となりました。
「抱擁」=写真下=はエンジュの木で制作。木彫は、原木に彫りたい形をイメージして、余分な個所をのこぎりで切り落とす「木取り」によって像の形や骨格の全容を決定します。そして粗彫りから仕上げ彫りへと、常に全体像を眺めながらの“緊張の彫り”を繰り返します。のみの切れ味も作風ににじみ出てきます。木肌を生かした塗装を施して完成です。デフォルメされた具象作品で、私の今後の作風を暗示しています。
「自分を常に内省してゆくことで制作が向上する」との亡き師・石井鶴三先生の教えを今もなお、心して制作しております。
(作品と文・小野建吉)

小野建吉さんプロフィール
1933年飯田市生まれ、川中島町在住。59年、東京芸大の石井鶴三教授から彫刻制作を学び、生涯の師とする。83年、県教育センター美術科主事。92年、県美術教育研究会会長。同年から北信美術会審査員。93年から北信彫刻会会長。94年、須坂市墨坂中学校新築記念像「遥か」制作。96年、日本彫刻展入選。2006年から市野外彫刻めぐり講師、市景観賞審議委員、太平洋美術会審査員・評議員。長野県展、北信美術展、太平洋美術展で受賞多数