フロント 2009年10月24日

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真剣な表情で1本1本縄綯いをする加藤さん。作り出した素材が、下のような新しい作品につながっていきます

自然素材使い「わらの篭」作り

長野市街地から、車でなら40分ほどで自然豊かな戸隠に着きます。飯縄山と戸隠山の裾に広がる山里。四季を通じて自然と共に生きていることを実感できるこの地に住んで18年になります。

季節の移ろいの速さに追い付かず、こちらが駆け足になることも多々あります。それでも、夏に汗して用意した薪(まき)がとろとろ燃え出すころになると、私たちは落ち着きを取り戻し、静かな生活が始まります。

私は「わらの篭(かご)」を作っています。わらは私たちの暮らしと共に歩んできた、素朴で自在な使い方ができる素材です。

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冬は縄綯(な)いを始めます。わら、シナノキの皮、麻(かつて栽培され、今は土蔵に眠っている物)、スゲ、アカソなど、近在で採取できるものはすべて綯います。

梅雨のころ、これらの材料集めに野山に出ます。シナノキの皮の採集は木の伐採からです。外皮を腐らせ清流にさらし、繊維にするまで時間がかかります。鬼無里のおじさんたちに教わりました。今では一人でできるようになりましたが、問題は体力です。

夏は篭作りに入ります。わらを土台に、縦糸にシナノキの皮や麻を使います。自然の素材はどれも強く優しい色合いを持っています。

私にとって「わらの篭」を作る源は、人々がかつて経験したような、手で物を生み出す暮らしへの「回帰」のように思います。また、色やにおい、人の動くテンポ、「簡素」で丁寧な生き方。自分の力で生きなければ生きられない世の中を夢見ているのかもしれません。

「篭」作りの初めの一歩は、平山英三さん(落葉美術館主宰・2005年閉館)の言葉「わらの篭は、おやりになるといいですね」からでした。今も平山さんの確かな目と姿勢を指針に、学びの途にあります。

(文 ・加藤由美子)
(写真・宮本 辰雄)

加藤由美子さんプロフィル
1950年長野市生まれ。戸隠在住。東京、大阪などで18年間教育活動に携わる。1984年作業所で指導のため、草木染、蔓(つる)編みを習得。91年関西から戸隠村に移住。木工家の夫と工房を開く。蔓の根を使った花入れを創作。2000年から山里から生まれる素材とわらを使い、篭作りを始める。04年川中島「桜華書林」で「わらの篭」を発表。以降、年1、2回の個展を開催。
※11月1日(日)まで「桜華書林」で個展を開催中。

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