フロント 2010年1月16日
昨年末、一人の青年が単身イギリスへ向かった。「プロダンサーになりたい」—。中学生のころからの夢に一歩近づいた彼は、あこがれを現実に変えるため、臆(おく)することなく前だけを見詰めている。
4年前、週刊長野の「ファミリーコーナー」で紹介したバレエ3兄弟の長男、高田樹(たつき)君(18)。昨年1月から2月にかけてスイスのローザンヌで開かれた、世界各国のプロダンサーを目指す者の登竜門「ローザンヌ国際バレエコンクール」で見事、入賞。「英国ロイヤル・バレエ団」研修生への道を、自らの手で切り開いた。
パリ・オペラ座などと肩を並べ、世界3大バレエ団の一つと称される英国ロイヤル・バレエ団。日本を代表するプロダンサーの熊川哲也さんがプリンシパル(主役)として活躍していたことでも知られる。1年間の研修後、実力次第で正式団員への道も開かれる。
「プロになるのは、そんなに簡単にかなう夢ではないと思っている。自分のレベルをもっと上げていかなくては」。過信することなく、冷静に自分を見詰めながら、「いつかはプリンシパルになれるように」、クラシックバレエの伝統と文化が息づく場で、たゆまぬ努力を続ける覚悟だ。
小学1年の時、「女の子がやるものだから嫌だ!」と、気乗りしないまま何となく足を踏み入れたクラシックバレエの世界。練習後、ボーイズクラスのお兄さんたちと遊ぶのが楽しいので続けていたという。そんな少年が、コンクールに出るようになった小学3年の時、初めてバレエを楽しいと感じた。それからは生活の一部となり、重ねた努力と自信が「舞台で踊った時の気持ち良さは格別」と、その魅力を言葉にする。
コンクール、入賞、研修先決定と、昨年はとにかく「激動の1年だった」と振り返りながら、穏やかな笑顔を見せる高田君。これから先も、自分では想像できないような「激動の人生」が待っているだろう。
(記事・千野美紀)
高田樹さん
プロフィル
1991年長野市栗田生まれ。98年、白鳥バレエ学園でバレエを始める。2006年、埼玉全国舞踊コンクールジュニア部で埼玉新聞社賞。09年2月、スイスローザンヌ国際バレエコンクール第8位。プリ・ド・ローザンヌ2009研修生賞受賞。4月、東京新聞社主催全国舞踊コンクールジュニア部3位。12月、プリ・ド・ローザンヌ研修生賞賞金を得て、英国ロイヤル・バレエ団研修生として入団
写真提供・白鳥バレエ学園