風化 162×112cm 油彩
好きな風景に造形を加え
絵を見ることが大好きだった私は、全国に出張する機会の多かった40年くらい前から、出張先の土地の美術館でどんな企画展を行っているかを調べてから出発し、印象派を中心にさまざまな画家の絵を片っ端から鑑賞してきた。
自他ともに認める鑑賞者であった自分が、絵を描くようになったのは、今から15年ほど前。会社生活もあと10年で終わると思った時、自分に趣味らしい趣味がないことを痛感。それならば好きな絵を習ってみようと考え、松川勝男先生のアートエム絵画教室の門をたたいた。
私自身は小さな風景画を描ければいいなくらいの気持ちで入門したのだが、先生からは風景画を描くには形と明暗をよく観察することが大切だ。そのためには大きなサイズの絵を描いてみることも必要だということを教えていただいた。
展覧会にも50号で出品するようになり、入選するようにもなって徐々に熱が入り、現在では大きな100号が主体になっている。
掲載作品は、イタリア旅行で感動したナポリの「卵城」をモチーフに、黒部川源流で感動を覚えた岩壁の模様を組み合わせて表現した。このように、描く内容も、好きな風景の原形を生かしつつ、別の風景の一番気に入った部分を造形することもまた楽しみとして描いている昨今である。
(作品と文・峯村欣弘)

峯村欣弘(よしひろ)さん
プロフィル
1945年信州新町生まれ、篠ノ井在住。95年松川勝男さんに師事。98年北信美術展初入選。2001年長野県展初入選。04年北信美術展奨励賞受賞。09年信州新町美術館別館で初個展、一陽会展初入選。一陽会長野県支部会員、信濃美術会会員、北信美術会会員
| 2010年06月26日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
「ポタラ宮殿」 F4 ペン画スケッチ
チベット描いたスケッチ画
磯崎純子さん(66)が初めて海外へスケッチ旅行に出掛けたのは49歳の時。その後スイス、中央アジア各地の山岳地帯へ17年に及ぶ旅を続けています。なぜ山歩きなのか?の問いに「 冒険が好きだから」とバイタリティーあふれる答え。
掲載したスケッチは、12年前、チベット・ラサのポタラ宮殿に3度目に足を運んだ時の作品です。ネパールからトレッキングでヒマラヤ越えをし、カイラスの聖地に入った旅の終わり、ラサの上空は限りなく青く、白い雲の輝きがとてもまぶしかったそうです。
磯崎さんは、ヒマラヤ山脈を越えた向こうに巨大な城が存在するということが不思議でした。中央アジアの歴史に触れ、7世紀の吐蕃王朝(とばんおうちょう)の隆盛を知りました。
「巡礼路の婦人」 P6 ガッシュ画
チベットの人々は、来世の幸せを願って、大地に体を投げ出す五体投地の礼をして、標高3700メートルのこの地を訪れます。その敬けんな祈りの姿に胸を打たれました。世界遺産のポタラ宮殿は、天空鉄道の開設で観光地化され、今では人民広場のように整備されています。
幼いころから絵が大好きだった磯崎さん。小学6年生の放課後、黒板いっぱいに絵を描いて先生にしかられないかと思った記憶も…。
本格的に山の絵を始めたのは、白馬村に住んでいた33歳のころ。山岳画家・故足立真一郎さんとの出会いからです。山の空気までが画布から伝わってくるような先生の作風を目指すようになりました。
磯崎さんは「山の放つパワーと仏性が共鳴した時、無心になれ良い作品ができる」と言います。世界地図を広げ、「いつかトルストイ生誕の地・ペテルブルグまで大陸横断列車で訪ねたい」と少女のような面持ちで語ります。大好きな言葉は “人は夢見たところまで行ける”。
ダライ・ラマ法王がきょう19日(土)善光寺を訪れるのに合わせ、「チベットを感じてほしい」と、チベットを描いた個展を開いています。
(作品・磯崎純子)
(記事・松原京子)

磯崎純子さん
1944年茨城県ひたちなか市生まれ。長野市若宮在住。東京での首都高速道路公団勤務を経て、白馬村、北海道に移り住み、日本一周冒険旅行を。長野市内にアトリエを建て画業に専念。白芽会グループ展に22年連続出品、個展多数。県山岳協会「山学山遊会」会員
※「スケッチの旅から チベット 磯崎純子水彩画展」27日(日)まで
染工房kimi(大門町)問合せ/(電話)234・8188
| 2010年06月19日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|

県内外からオーナー、体験ツアーの人が参加して田植えを行い、家族連れなどでにぎわった姨捨の棚田(5月30日)
善光寺平望む棚田で田植え
千曲市の「名月の里・姨捨の棚田」は今年2月、関東甲信越で初の国の重要文化的景観に選定された。
一帯は耕作地としては不便だったこともあって、1990年代に荒廃が進んだ。市は打開策として、96年から「棚田貸します制度」を実施し、荒廃を食い止めてきた。その成果に加え、「古典に登場したり多くの文人に詠まれた歴史的遺産と景観」「弁財天の豊かな湧水とそれを貯水する水源の大池」「『日本の棚田百選』の中でも最大規模を誇る2000枚の棚田」などが評価された。
棚田はJR篠ノ井線姨捨駅の東斜面に広がる。駅南側の踏切を渡ってすぐの長尾根からの眺望は素晴らしい。足元に棚田の全景を望み、その背景に千曲川が流れ善光寺平が広がる。
先へ進むと俳句で名高い長楽寺がある。月見堂の前には松尾芭蕉の面影塚「俤(おもかげ)や姥(うば)ひとりなく月の友」の句碑があり、ほかの俳人たちが詠んだ碑も立ち並ぶ。長楽寺から集落を下ると、同寺所有の四十八枚田があり、「田毎(たごと)の月」はこれらの田に映る月に由来する。

古くから人々を魅了してきた「四十八枚田」にある田毎観音
5月30日には、「棚田貸します制度」のオーナーらが田植えを行った。あぜ道にはアヤメや野の草花が咲く。にぎやかなカエルの鳴き声が聞こえ、水中にはオタマジャクシやミズスマシの姿も。水の入った田には“生命”が輝いている。
傾斜地を切り拓(ひら)き、水を引くにも平地の何倍もの労力を要する棚田。その風景からは、食糧がすべての人にゆき渡りますように、という民の願いが伝わってくるようだ。
(文・写真 宮本辰雄)
| 2010年06月12日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
よりすぐりの名品 楽しんで

石井柏亭「画室小集」1949年 油彩 110.7×160.8cm
県信濃美術館では1966(昭和41)年の開館以来、郷土作家の作品や信州の風景画を中心に作品を収集し、現在約2900点を収蔵しています。あす6月6日(日)から始まる「信州ゆかりの天才アーティスト」展では、これらの中からよりすぐりの名品約100点を紹介します。
本展出品作の石井柏亭「画室小集」=作品上=は、柏亭に師事した作家たちがテーブルを囲んでいる様子が克明に描かれています。中央の画中画は、柏亭自身が描いた「麦秋」で、一水会という団体展に実際に出品された作品です。壁にはベラスケスの肖像画が掛かり、テーブルの上にはクールベやマネの画集、フルーツの盛り合わせのほか、ラベルや瓶の形からサントリーの角瓶とわかるものなど、当時のハイカラな品々が置かれています。
戦後復興期に、作家たちはたばこをくゆらせ、グラスやティーカップを片手に何を語り合っているのか、想像をめぐらしてみるのも一興です。また、画面手前の後ろを向いた白シャツ姿の人物は不破章、「麦秋」左前の横顔の人物は須山計一。いずれも本展で作品が展示されます。

池上秀畝「秋雨」1932年 日本画 161.0×177.5cm
池上秀畝「秋雨」は、千葉県市川市真間にある晩秋の蓮(はす)池を取材したものです。蓮の葉や実、鳥が羽をばたつかせる様子が、日本画ならではの繊細な色彩と描線で表現されています。画面からは、水辺のひんやりとした空気が感じられ、水しぶきや葉に当たる雨の音が聞こえてくるようです。
この機会に長野県が有する至極の作品を、ぜひお楽しみください。
(記事・県信濃美術館学芸員 土屋宏美)
信州ゆかりの天才アーティスト
─長野県信濃美術館名品展─
6月6日(日)〜7月11日(日) 開館9〜17時(入館は〜16時半) 大人500円、大学生300円、高校生以下無料 休日/水曜。
〈主な出品作家〉
日本画 菱田春草、西郷孤月、菊池契月 洋画 安井曾太郎、梅原龍三郎、小山敬三、草間彌生 版画 池田満寿夫 工芸 松井康成、山浦真雄 彫刻 荻原碌山 書 比田井天来
[同時開催]東山魁夷館常設展II「絵のなかのリズム」
県信濃美術館(電話)232-0052(城山公園内)
| 2010年06月05日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
介護に生かす古武術の技
土曜の午後、三輪の老人ホーム「あたご」の一室に道着をまとった人たちが集まる。そこは、介護に生かせる古武術の技を一人でも多くの人に知ってもらおうと、30年の古武術経験がある池内静雄さん(60)が3月に開いた「健康道場」。健康な心身を基本に古武術の技を身に付け、介護や日常生活への応用術を学び合う場になっている。

道場のけいこの様子から(護身技の一例)
「介護で体を傷める人が本当に多い。古武術の技を使うことで、介護による体への負担がぐっと軽くなる」と池内さんは言う。全身の力を均等に使い、体の一部分だけに負担がかからないように行う。「力は入れるより抜くことが重要」と説く。
教えに従って技を使うと、未経験者でも、寝ている人の上体を起こしたり、いすに座った人を立たせるなどの動作が無理なくできることに驚く。相手に寄り添い、密着しながら行う一連の動きは、介護する人にもされる人にも優しい理想形なのだろう。

相手の背に沿わせる手は「きつね手」。全身の力を均等に使い、相手の体重も利用することで、より少ない負荷で女性でも自分より重い男性を抱え上げられる
同道場で学ぶ老人ホーム勤務の介護士の女性は「それまで2人がかりでやっていたことが1人でできるようになった」。介護の現場で役立つことが多い、と実感している。
精神の鍛錬も大きな目的。おへその少し下の「丹田(たんでん)」に力を入れることで、何事にも動じない精神力が得られるという。池内さんは古武術を学びながら、合気護身術を長野女子高で10年間教え、生徒の精神面の支えにもなってきた。道場開設には、「介護やさまざまな事情で、ストレスを抱えたり心身のバランスを崩した人たちの救いの場にもなれば」という池内さんの思いもある。
(記事・川上民恵)
(写真・小原晴雄)
健康道場
老人ホーム「あたご」(三輪)で、「合気護身術(古武術)」毎週土曜15〜20時。「ヨガ整体」毎週水曜19〜21時。見学は随時可。
問合せ/池内 電話243・7500
| 2010年05月29日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
ぬくもりのデザイン発信

“ふつうな生活”をテーマに「使う楽しさ」が感じられる作品の数々
千の手で救済してくれるという千手観音、しかしいざ手伝ってもらっても「猫の手」で役に立たない「猫手観音菩薩(ぼさつ)や、普賢(ふげん)菩薩ならぬ「不機嫌菩薩」、弥勒(みろく)菩薩ならぬ「魅力菩薩」-。
今春から、松代の古刹(こさつ)清水寺(せいすいじ)で販売されているお守りにデザインされた仏様たち。“おやじギャグ”的な温かさをたたえた一風変わった命名と、人間くささあふれるイラストの姿が静かな話題となり、観光客らの目を引いています。
制作したのは長野市生まれで稲田在住のグラフィックデザイナー中沢定幸さん(45)。小さい時は漫画のキャラクターたちをノートに描いて遊ぶのが好きだった中沢さんは、高校卒業後、出版社や郵便局勤務を経てデザイン会社に入社。大手企業の広告など本格的にデザインにかかわるようになりました。
1996年、独立して中沢デザイン事務所を設立。美術館のポスターやチラシ、菓子やジャム、弁当などのパッケージ、本や雑誌など出版物の装丁やロゴデザインといったさまざまな仕事を手掛けてきました。
また「自分の力量テストのつもり」で、各種コンペにも継続して参加。昨年秋には、指定の手順で組み立てると買い物バッグに変身するユニークなポスターが「ライフデザイン信州2009」(県など主催)でグランプリを受賞。そのイラストのエコバッグ=写真左=は県内のセブンイレブン全店で紹介されて反響を呼びました。
近年は、作家仲間5人でつくる創作ユニット「nana*t(ナナット)」でも、オリジナル作品を発表。展覧会を企画する活動に加え、現在は県技術専門校とOKA学園の講師も務め、デザイナー岡正子さんらとカジュアルシルクを提案するブランド「Japonica」を展開しています。
手描きにこだわり、「生活の中でクスッとしてもらえ、持った人の心を温かくできるデザインや生活雑貨を創(つく)り続けていきたい」という中沢さん。最近とみに好きになったという地元長野の地から、ホッとできる温かみのある“オリジナル作品”を発信しています。
(記事・中村英美)
(写真・森山広之)

中沢定幸さん
主な受賞経歴
上海2010ポスターコンペティション金賞、
The 2nd International Poster Exhibition,Ningbo 金賞 など
| 2010年05月22日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|

大勢の曳き手により、庚申坂を上り始める御柱
「北信随一」小川神社の御柱祭
「北信随一」といわれる小川村小根山の延喜式内社小川神社の御柱大祭が5月3日、盛大に繰り広げられました。諏訪大社と同じ7年目に1度の祭りで、宝暦年代から260年の歴史と伝統を誇ります。過疎と高齢化で担い手が減る中、氏子たちは無事に成し遂げられた充実感に浸っていました。
当日は朝、神社で祈年祭をした後、2本の御柱が置かれた注連掛場(しめかけば)で祭事を行い、1.8キロの曳行(えいこう)がスタート。大勢の見物客が見守る中、地元の森悠太君(10)が若殿にふんした辰野町平出の騎馬行列などが先導し、長持連が御柱の後に続きました。

大祭に彩りを添えた長持連
曳行は、所々で音頭取りが木遣(や)り歌で応援。途中、騎馬行列一行による旗持ち、露払いなどの妙技や長持連の演技が披露され、小学生もかわいい花笠(はながさ)踊りを見せてくれました。

道中で妙技を披露する平出の騎馬行列の一行
御柱は午後3時過ぎに一番の見どころの庚申(こうしん)坂を曳き上げられ、5時ころ神社に到着。祭事や演技奉納を行って里曳きを締めくくりました。4日は境内で建(たて)御柱が行われました。
(写真と文・坂口清一)
((社)日本写真協会会員)
| 2010年05月15日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
「くつろぎⅠ」905×600mm 2006年制作 水性木版
日本の木版画に魅せられ
私にとって木版画の魅力は、「版木」に刻む「ノミ」の線、何種類もの色を「ばれん」の力加減により「和紙」に写し取るという一連の仕事の重なりが、絶妙なハーモニーを作り出し、表現できることにあります。
生活を通じての体験、感動、喜び、悲しみなど、その時々の私の感情が、木版画に版木の表情、線の表情、写し取られた色から作品として表現されます。
不思議なぬくもり、楽しさ、希望、不安など、作品を見る人の主観を通じ、さまざまな感情を感じ取っていただけると思います。
掲載作品は、水草の浮かぶ池の静かな水、左右に形を変えながら流れる水です。路地や庭の敷石に撒(ま)かれる打ち水は辺りの気を清浄にしてくれます。そして、その水の気は、周りにいる人たちをくつろがせてゆきます。打ち水のイメージと、そこで「くつろぐ」イメージが重なりました。
韓国の大学の美術学部を卒業後、日本の浮世絵に触れました。木版画技術は、かつては経典の印刷に使われながら、韓国では技術としては途絶えていました。一方、日本では浮世絵に代表される独自の技術として花開いたことに興味を持ち、1994年に来日しました。武蔵野美術大学大学院や東京芸術大学大学院で、日本の伝統的な多色刷水性木版画を学びました。
縁あって信州に嫁ぎ、信州の自然や景色、人間関係の中で制作した私の表現が、皆さんにどのようにご覧いただけるか大変楽しみです。
(作品と文・朴再英)

朴再英(パクジェヨン)さんプロフィル
1964年韓国で生まれ、千曲市在住。日本版画協会会員。日本美術家連盟会員。87年ソウルの徳成女子大学美術学部東洋画科卒業、98年武蔵野美術大学大学院版画科修了、2001年東京芸術大学大学院版画科修了。07年第75回日本版画協会展準会員最高賞ほか受賞多数。毎年国内各地の画廊で個展、グループ展を行い、韓国でのアートフェアKIAFに連続出品。中国・上海美術館での発表も。
| 2010年05月01日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
諏訪公司さん
無柱の巨大ゲル建築に挑戦
直径8メートル、外周約25メートル、床面積約50平方メートル。山梨県でヨガ教室として使われる「ゲル」の仮組み作業現場。菱(ひし)格子に組まれた蛇腹(じゃばら)式の木組みを連結させて現れた空間は、驚くほど広い。この巨大なワンルームの屋根を「支える柱を使わずに建てる」のは、木工職人・諏訪公司さん(62)にとって「未知への挑戦」だった。
ゲルはモンゴル高原に住む遊牧民の移動式住居。換気や採光の役割を果たす円形の中央頂点部から、外壁に向かい放射状に渡された梁(はり)が屋根の骨格を成す。通常は2〜4本の柱で天蓋(てんがい)を支える。だが「柱があると用途が狭くなる」と、オリジナルの構造を貫いてきた。しかし今回は、これまで製作したゲルよりはるかに大きい。設計図どおりに建ち上げることができるか…。緊張が走った。
作業が進むにつれ、予想外の問題が次々と起きた。架けた梁を何度も組み直す。3人がかりで丸2日、ようやく完成した骨組みを前に、安堵(あんど)感がにじむ。一棟一棟、使う人の思いに寄り添い、積み重ねた経験が生かされた美しいフォルムだ。

直径1.4メートルの天蓋から側壁に向かい、長さ3.6メートルの梁(36本)を渡していく
イベント貸し出し用の直径6メートルのゲル
東京から長野に戻った諏訪さんが、初めてゲルを製作したのは15年前。町の中に構えた工房に限界を感じ、山懐に抱かれた飯綱町に移転。仕事場は確保できたが居住スペースがない。考えた末、当時あこがれていたモンゴルの暮らしを実現しようと、試行錯誤で直径4メートルのゲルを建てた。
基本構造は同じでも、材料や細部の造作は全くの自己流。建築に携わった経験と県産材利用の可能性を考慮し、側壁はしなやかで強靱(きょうじん)なブナを、梁や入り口は軸方向に強いカラマツを使った。
自然界の息吹を感じながら、一つの空間ですべてをまかなう生活。「天蓋を見上げていると安心感に包まれる。まるで気が満ちてくるような感覚」という。文明の時代に、あえて選んだシンプルな暮らしだった。
出来上がった骨組みを穏やかな表情で見つめる諏訪さん。そのまなざしの先には、すでに新たな構想が描かれているようだった。
(記事・三井百合子)
(写真・竹内 大介)
| 2010年04月24日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|
蝶々飾り 225×150mm
女性美を色鉛筆で幻想表現
作品展などの会場では、「繊細」「淡い色」「幻想的」という感想をよくいただきます。また使用している画材について尋ねられますが、色鉛筆とお答えすると大変驚かれます。それだけ色鉛筆という画材には、絵画の道具というより手軽な筆記用具というイメージが強いのかもしれません。
しかし、色鉛筆は扱いやすい上に、実に奥深い画具であり、ファインアートの表現における十分な多様性を持ち合わせています。イメージどおりの繊細で優しい表現の多くは、色鉛筆という画材でなければ描き出せません。色鉛筆は多様な表現方法が可能なことを特徴としています。そして私にとって、この画材との出合いが現在の作品誕生へとつながっています。
作品は主に「自然」や「美」をテーマとし、独自のイメージを表現し、描き続けています。スピリチュアルな面では、「自然界に存在するものにはすべて魂が存在する」というアニミズム思想に影響を受けており、それらを根底にしながらイメージを生み出しています。
自然界からインスピレーションを受け、オリジナルなイメージを作り出し、色鉛筆を用いて作品を描く— という作業が主な制作過程となっています。
掲載作品の「蝶々飾り」、「慕情」のように、女性と植物を組み合わせて世界観を表現したものが多いです。女性の持つ美しさと自然界の持つ美しさが合わさると、それぞれの印象があいまって、魅力や表現したいイメージがより強く現れてきます。
慕情 300×600 mm
神秘的かつ幻想的で、見る人に安らぎや癒やし、幸福感を与えることができる作品を目指して制作しています。
(画と文・世織万稀)

世織万稀(せおり・まき=本名・伊東真樹)。色鉛筆アーティスト。横浜市生まれ。長野市鶴賀在住。日本色鉛筆協会(JCPS)会員。
色鉛筆アーティストとして制作に当たる一方で、作品展やイラスト提供などで活動。2002年 初個展。03年・07年 Vo&GtユニットBlue flower CDアルバムにジャケット用イラスト提供。04年個展・グループ展(都内)。05年個展(飯山市立美術館)。06年作品展。
(HP) http://www.hpmix.com/home/quietude/index.htm
| 2010年04月17日 09:00
| フロント記事
| Comments Off
| Comments Off
|